助けてと何百回叫んでも、大好きな誰かに訴えても、誰も私を愛すことができないと思いました。
私が助けられた事も理解された事も共感された事も心配されている事も何もわからないからです。
茶壷にゃ底がない。全て私の作りが悪かったのです。
だから私は部屋に引きこもって自分を愛してくれる世界の物語を書く事にしました。
物語の中で私は最強無敵のヒロインであり才色兼備で文武両道で全知全能であり
対象に合わせて服を着替える様に自分を彩る事が可能な愛される素質を十二分に兼ね備えた美少女です。
ゲームにハマる様な感覚で私はその夢を見続け、文字に起こしては自分で読んで悦に入りました。
ソレがあったから私は何もない場所でも全てを手に入れている様な錯覚を起こしました。
幸せです。私は皆から愛されます。理解され、心配されます。貴ばれます。羨ましがられます。
温かいご飯と部屋と布団。そして「自分は人に愛されている」感覚。人間はそれだけで十分です。
私が傷ついて現実を生きる事を諦めてどこか頭だけでも幸せになって欲しいと思ってそうしました。
去年はそうしました。今年はソレを止めたいと思いました。引きこもりが良くないと思ったからです。
でも私は夏と考えている事が違うのでその案は駄目です。
夏の私はとにかく抑えの利かないエネルギーを持て余していたけど今は何もないので。
私はもう現実は要らないので夢だけ見たいです。
愛してください。あなたと手を繋いだところで誰もいない。満たされることは無い。
私はずっと独りです。